2026.3.15

[活水湧出](11)

「天地は滅びても」(マルコ 13:24〜37、第一ペテロ4: 7〜11)

 

受難週の3日目、火曜日に、イエスは多くのことを教えられましたが、ヘロデの大神殿の崩壊の預言をされました。それは弟子たちにとっては大きな驚きでした。城門を出て、ケデロンの谷を下り、オリブ山に登り、そこから聖なる都エルサレムを遠望しました。眼前にはあの巨大な神殿がありました。

 

さて、マルコによる福音書13章なのですが、これまでのイエスの言行録とは違い、決定的な現在と未来への預言が語られました。私自身、この部分の説教は、重い責任とためらいを感じています。東大の総長であった矢内原忠雄は、「イエス伝-マルコ伝による」というマルコによる福音書註解書を出していますが、その中で次のように言っています。

「最近の1週間、私は二三の事について心配がありまして、1週間を暮らすのに10年もかかったような気がする。私の心を悩ましたうちの1つは、マルコ伝13章をどうして通り抜けるかということです」と書いています。それは昭和13年のことであり、親しい仲間たちや弟子たちや、そして彼自身も警察に呼び出されて、何を語っているかを問い詰められる状況にあったからです。それは次の、

「あなた方は、自分で気をつけていなさい。あなた方は、私のために、衆議所に引き渡され、会堂で打たれ、長官たちや王達の前に、立たされ、彼らに対して証をさせられるであろう。」(マルコ13:9)の御言葉が現実になっていたからです。

 

また、今日イスラエルとアメリカがイランに攻撃をかけたことにより、全世界の緊張感が非常に高まり、マルコ13章の患難の時代を予測させる事態になっていることも、私の説教をまとめることの負担になっています。

終末預言とキリストの再臨を短時間にまとめることはできませんが、聖書に生きる私たちは、ここを避けて通ることができないことを知っています。

①神殿の崩壊

②終末の前兆

③キリスト者への迫害

④荒らす憎むべきもの(ローマ軍の事)

⑤人の子(キリスト)の来臨(再臨)

 

マルコによる福音書は、他の福音書に比べ、終末の兆候が次々と起こってきて、終わりが来るようには書いていません。「時が満ちて」忽然とイエスが再臨されるように書かれています。

終末の前兆については、マタイ24章により克明に書かれています。

①偽キリスト、偽預言者の出現。

(統一協会や麻原彰晃を想起させます)

②戦争と戦争の噂(現代は、あらゆるメディアの情報がそれを伝えています)

③民は民に、国は国に敵対する(格差と分断の社会)

④飢饉(80億人を超えた世界の人口はさらに爆発的に成長していますが、既に食料は不足しています)

⑤地震(単に日本に限らず、世界中で大きな地震が発生しています)

⑥キリスト教に対する迫害と背教(現在中国においては現実のものとなっています)

⑦愛情の冷却(これは単に現代社会の特徴ではなくて、終末の兆候です)

⑧福音伝播の完了(未だ福音の伝わっていない世界はありますが、あらゆるマスコミやインターネットなどによって世界のすべての人が福音を聞いています)

 

このような「時のしるし」を意識せざるを得ませんが、慌てふためいて動揺してはなりません。イエスは5つの助言を与えています。

①人に惑わされないように注意しなさい。

②最後まで耐え忍ぶものは救われる。

③だから気をつけていなさい。

④「その時」は誰も知らない。

⑤だから、目を覚ましていなさい。

(いちじくの譬え話はイスラエル、民族の動向です)

 

聖書の言葉にすべての土台を置いて生きる私たちは、日々のニュースを聞きながらも、御言葉が指し示す方向を見ながら「目を覚まして」いかなければなりません。

 

「その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。その時、大いなる力と栄光とをもって、人の子が、雲に乗ってくるのを人々は見るであろう。その時、彼は御使たちをつかわして、地の果てから天の果てまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。」(マルコ13:24〜27)

「天地は滅びるであろう。しかし、私の言葉は滅びることがない。」(マルコ13:31)

 

20世紀最大の歴史学者アーノルド・トインビーは「地球温暖化や食料危機や民族戦争があるであろうが、 いちど核戦争が起こったときには、21世紀に人類は絶滅するであろう」と言っています。しかし今再び核兵器増強の軍拡が始まっていることを聞く事は驚くべきことです。

人類の終末とキリストの再臨は本質的に別のことですね。私たちにとって再び最後の審判に向かって正しい裁きをしてくださるイエス・キリストの再臨は希望です。

教会はキリストの再臨を待ち望む人々の群れです。慎んで祈りつつ待ち望んで参りましょう。

 

「万物の終わりが近づいている。だから、心を確かにし、身を謹んで、努めて祈りなさい。」(第一ペテロ4: 7)

小田 彰