2025.8.3

「パンくずでさえも」(マルコ 7章24〜30節、エペソ 2章11〜19節)

 

ガリラヤ湖畔の伝道を展開していたイエスと弟子たちは、北西約60キロほど離れたツロの地方に行きました。しかしその旅は、レバノン山脈を超えて行かなければなりませんでした。その地方一帯はフェニキアと言われ、古くから大変繁栄した地方でした。ツロとは「岩」を意味する言葉で、海岸から数百メートル離れたところの岩盤の上に建てられた都市でした。地中海交易のために大変繁栄しました。エリヤの時代にアハブ王はツロの王女イゼベルを妻としました。彼女と共にバアル教がイスラエルに持ち込まれ、神の裁きを受けることとなります。イエスがなぜこの地方に行ったかという理由は全くわかりません。

 

さてツロ・フェニキヤで生まれ育ったギリシャ人の夫人がイエスの足元に来てひれ伏し、娘の病の癒しを求めたと言うのです。この出来事はマタイによる福音書15:21-28にも記録されていますが、異邦人にもかかわらずその信仰が、イエスの心を動かした出来事として福音書は記録しています。

この出来事を時系列を追って見て参りましょう。

①イエスの名声を聞き、偉大な癒し主であることを確信し、娘の病いの癒しを求めた。

②ただそう思っただけではなく、イエスに近づき、娘の癒しを懇願するチャンスを祈り求めていた。

③ツロの1件の家に滞在していると聞き、近づいた。行動を起こしたのです。マタイ福音書では、弟子たちから拒絶されています。

④ただひれ伏しただけではなく、礼拝しました。(マタイ15:25)

⑤イエスは「まず子供たちに充分食べさすべきである。子供たちのパンをとって小犬に投げてやるのはよろしくない」と言って拒否しました。子供はユダヤ人であり、小犬は異邦人です。

⑥しかし、女は食い下がって必死で「主よお言葉通りです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンクズはいただきます」と言って執拗にイエスの助けを求めました。

⑦それほどまでに熱心な女の懇願に、イエスは感動し、御業をなさいました。「その言葉で充分である。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。

 

さて、この記事から「祈りの秘訣」を学びましょう。

①自分の要求を明確にして祈ること

②イエスの名によってなされる神の力を信じること。

③常識を打ち破って非常識なまでに祈り求めること。

 

この女は、自分とイエスとの関係が遠く、その力を受ける資格がないことを知っていましたが、すべての条件を超えて信じて取りすがって求めました。そこに奇跡が起こりました。

私たちの現実問題を解決する場合、無意識に「祈っても実現は不可能だ」と決めてしまっている場合が多いのではないでしょうか。イエスの名によってどんなことも思い切って現実的に祈ってみることです。

まず祈りの行動を起こしましょう。

 

パウロは言いました、

「あなた方は、このように、以前は遠く離れていたが、今では、キリスト・イエスにあって、キリストの血によって近いものとなったのである」(エペソ2:13)

 

いよいよ8月に入りました。猛暑の中にも豊かな恵みがありますようお祈りいたします。

小田 彰