2025.5.25

「神の国の奥義」(マルコ 4:21〜34、マタイ5:13〜16)

 

ガリラヤ湖の岸辺で、船の中から群衆に語るイエスの言葉は、わかりやすい譬え話を通して、人々の心にまかれた種でした。しかしその真の意味を理解したものはどれほどあったでしょうか?イスラエルに現れた大預言者でありながら、エルサレムの王宮からではなく、東北ガリラヤ湖畔のカペナウムから、密かに始まった神の御業でした。

 

「何でも、隠されているもので、現れないものはなく、秘密にされているもので、明るみに出ないものはない」。(マルコ4:22)

 

まさに、イエスの静かな密かな福音の言葉は、隠されていることはできず、いよいよ民衆の心を照らす大いなる光となりつつありました。

 

[神の国の譬え](福音の世界)

①おのずから実を結ぶ種の譬え

「地はおのずから実を結ばせるもので、初めに芽、次に穂、次に穂の中に豊かな実ができる。実がいると、すぐにかまを入れる。刈り入れの時が来たからである」。(マルコ4:28.29)

種をまく者は、努力してまくが、どのようにして種が成長し、結実するかは知らない。それは育てられる神の御業であります。

福音の宣教も神ご自身の御業です。そして、刈り入れの時は近づいているかも知れませんね。

 

イエスは迫害を受け、ついには十字架上の死を遂げますが、神の御業は前進し、拡大し、圧倒的な結実を見ることを確信しています。このような信仰をしっかりと持つことが私たちには必要です。

 

伝道者パウロは言いました。

「あなた方のうちに、良い業を始められた方が、キリストの来臨の日までにそれを完成してくださるに違いないと、私たちは確信している」。(ピリピ1:6)

 

あなたが今祈っている人生の様々な問題も、完全に委ねきった時、後は神が必ず完成してくださると信じられたら幸いですね。

 

②からし種の譬え

「それは一粒のからし種のようなものである。地にまかれる時には、地上のどんな種よりも小さいが、まかれると、成長して、どんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が宿るほどになる」。(マルコ4:31.32)

これは神の国の小さな初めと、大きな結果を対象させたものです。イエスの弟子たちの目立たない小さな群れも、神の奇跡的な力によって、異邦人をも含む偉大な神の国になるという大きな幻と確信を描いたものです。

これはイエスの働きの特徴ですね。私たちが今直面している問題に対して、あまりにも微力で、むしろ無力にさえ思う時、しかし神はそれを成し遂げてくださる。神の国の奥義とは、人間の業ではなく、神が成し遂げられるという信仰ですね。言葉を替えて言えば、私たちは信仰と誠実を持って奉仕さえしていれば、神は真実であってその願いを実現してくださるのです。

 

伝道者パウロは言いました。

「たとえ、私たちは、不真実であっても、彼は常に真実である」。(第二テモテ2:13)

 

「空の鳥が宿る」とは、異邦人のことです。イエスの宣教から程遠い、日本の私たちまでが、そのからし種の木の葉蔭に宿るものとなるのです。

 

クリスチャンとはこの神の国の住人です。無限大の信仰が問われています。与えられた使命を果たしながら、ひたすら神の御業の完成を待ち望みましょう。

今週も神の祝福が豊かにありますようにお祈りいたします。

小田 彰