2023.12.3

テーマ「一つのしるし」

聖書 イザヤ 7章10〜17節、ルカ 1章26〜38節

 

「それ故、主は、自ら一つのしるしをあなた方に与えられる。見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名は、イマヌエルと唱えられる。」(イザヤ7:14)

 

アドベント第一主日を迎えました。アドベントとは「現れる。出現する」という意味です。しかし日本では「待降節」と言い、クリスマスのために心を備える4週間です。

 

クリスマスの真髄は「キリストの内住」です。「生きているのは、もはや私ではない。キリストが、私の内に生きておられるのである。」(ガラテヤ2:20)と言った伝道者パウロの告白の中に表されています。罪が赦され、心が清められて、キリストを日々、生涯を通じて心に宿す人こそ本当のクリスチャンです。その意味で毎日クリスマスであり、1年中クリスマスです。そこには絶えない喜びがあります。クリスマスを祝うとか、クリスマスの飾り付けをするとか、クリスマスのイベントをやるとか言うレベルではありません。

 

しかし、そのような「キリスト内住経験」を持っていればこそ、毎年このお方の誕生日を心から祝うのです。そればかりでなく、周りの人にもその喜びを分かち合おうとするのです。それが私たちがクリスマスを祝う目的です。

 

今日のテーマ「一つのしるし」は、イザヤ書7章8章9章に展開されているきたるべき救い主についての預言です。その時代の出来事を背景にして語られているように見えますが、時代を超越して世界の救い主を示唆している不思議な神の御言葉です。

 

いわゆるイスラエル王国は、北のイスラエルと南のユダに分割されていました。北のイスラエルの最も有力な部族はエフライム族でした。彼らは隣国のシリアと連合軍を作り、南のユダを攻めようとしたのです。ユダの王アハズが恐れて、動揺したときに、神が与えられた約束の言葉です。

一つのしるしは、男の子が生まれるという預言であり、その名前の意味が「インマヌエル」(神我らと共にいます)であって、逆境の中で、恐れおののくものに神の御助けを与えるしるしでありました。しかし、実際預言者イザヤの時代に、またアハズ王に対して、そのような男の子の誕生はありませんでした。それは約700年後に、ベツレヘムの家畜小屋の中で誕生したイエス・キリストによって成就したのです。

 

旧約聖書は一つの民族イスラエルの歴史について語っています。新約聖書は一人の人イエス・キリストについて語っています。この一人の人はイスラエル民族の中から誕生しました。この一人の人について、聖書のすべてのページが語っているのです。

世界のすべての問題の解決も、また私たち一人ひとりの心と人生の問題の解決も、この一人の人にかかっています。この方が唯一人類の罪を赦し清めることができる方であり、完全に自我に死に、神の御心に従うことのゆえに、世界のすべての問題に対して、回答を与え、平和をもたらすことができます。なわち十字架にかけられたイエス・キリストによってのみ、世界には平和が来ます。復活されたイエス・キリストによってのみ、人類は死を克服することができます。

この方こそ、私たちに与えられた唯一のしるしなのです。

 

アドベントの4週間に、この唯一の救い主であるお方をさらに深く知り、心の内に宿す者とならせていただきたいと思います。そこに全ての祝福の源があるからです。神様の恵みがあなたにも豊かにありますようにお祈りしております。

小田 彰